インフレ対策で外貨建て資産を持とう!

様々なモノやサービスの価格が上昇するインフレ(インフレーション)が起きています。インフレに応じて、家計の収入も同じように増えるとよいのですが、必ずしも増えるわけではありません。

そこで、今回はインフレになっても購買力をある程度維持していくために、お金をどのように保有しておけばよいのかご説明させていただきます。

お金を日本円のみで保有するか、外貨も含めて保有するか

7月1日にスマートフォンの代表格、アップル社のiPhoneシリーズの価格が改定され、2割程度値上げされました。急速な円安によるものですが、このように円安になると、輸入している商品は基本的に価格が上がります。

石油、食料品、電化製品などを輸入している日本に住む私たちとしては、このような状況に対応するために、お金をどのように持っておけばよいか、考えてみましょう。

今、日本円で1000万円を持っているとして、そのまますべてを円で持っている場合と、半分を米ドルで持っている場合で比較してみます。なお、この時点でドル円の為替レートは1ドル100円と仮定しておきます。

この時に、為替レートが変動すると、購買力がどのように変化するか、1台500ドル(1ドル=100円なら5万円)のスマホを購入する場合で考えてみましょう。なお、このスマホは、ドル建てで価格が決まっており、為替レートが変動すると日本円での価格もそれに応じて変化するものとします。

すべて日本円で持っていると、為替の影響を受けやすく、購買力は大きくブレます

資産を日本円で1000万円保有している場合、1ドル100円ならスマホは5万円ですので、200台購入することができます。

ここで1ドル130円の円安になると、スマホの円建て価格は6.5万円($500)となりますが、資産は1000万円のままですから、スマホは153台(= 1000万円 / 6.5万円)しか購入できなくなります。1ドル100円の時は200台購入できましたので、手元にあるお金の購買力は下がってしまうわけです。

一方、1ドル70円の円高になると、スマホは1台3.5万円となり、285台(= 1000万円 / 3.5万円)購入できる、つまり購買力は向上したことになります。

つまり、スマホで換算した購買力は、為替の影響で153台から285台まで132台分の振れ幅があるといえます

半分を米ドルで持っていると、購買力はブレにくくなります

続いて、資産の半分を日本円で、残り半分を米ドルで保有している場合を考えてみましょう。まず、1ドル100円ならスマホを200台購入できることは同じです。

では、1ドル130円の円安になるとどうなるでしょうか。スマホは6.5万円になりますが、資産(500万円+5万ドル)は、円建てで1150万円になりますので、スマホを176台(= 1150万円 / 6.5万円)購入できます。すべてを円建てで保有していた場合は153台しか購入できなくなっていましたから、半分をドルにしていた方が購買力の低下は限定的です。 一方、1ドル70円の円高になると、スマホは3.5万円、資産は円建てで850万円になり、スマホ換算の購買力は242台(= 850万円 / 3.5万円)となります。つまり、すべて日本円で保有していた場合の285台と比べると、半分をドルにしていた方が購買力の上昇はおさえられます

最後に

日本円だけで保有していた場合には、為替レートの変動によって購買力が大きくぶれてしまいます(153台~285台)が、半分をドルで保有していた場合には、購買力のぶれ幅が半分(176台~242台)になります。もちろん半分をドルで保有すると、円建てでみた時の元本が変動するリスクはありますが、購買力の変動リスクは逆におさえることができるのです。

今回はスマホと米ドルを例としてご説明しましたが、これらに限らず輸入されている商品、そして他の外貨についても同様です。日々の生活を送る上で大切なことは、元本保証かどうかよりも、手もとのお金をモノやサービスにどのくらい交換することができるか、つまり購買力をできるだけ安定的に確保していくことではないでしょうか

すでに円安になってしまったので今から外貨を持ち始めるのは遅いのではと考える方がいらっしゃるかもしれませんが、この先、1ドル140円、150円と、さらに円安になる可能性もあります。

次回は購買力を維持、向上していくための、より具体的な外貨建ての資産について考えていきたいと思います。

著者プロフィール

横田健一

ファイナンシャルプランナー。株式会社ウェルスペント 代表取締役
大手証券会社にてデリバティブ商品の開発やトレーディング、フィンテックの企画・調査などを経験後、2018年1月に独立。「フツーの人にフツーの資産形成を!」というコンセプトで情報サイト「資産形成ハンドブック」を運営。家計相談やライフプラン・シミュレーションの提供を行い、個人の資産形成をサポートしている。

資産形成ハンドブック:https://shisankeisei.jp/
YouTubeチャンネル 資産形成ハンドブック :
https://www.youtube.com/channel/UCLAKtSh8TLpEA19PyD2cuOA

イラスト@mofusand

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