通貨ペアとは?

外貨預金やFXを行う際に理解が求められる、通貨ペアについて詳しくご説明します。

通貨ペアとは?

通貨ペアとは

通貨ペアとは

通貨ペアとは、売買する通貨の組み合わせのことです。売買する通貨の組み合わせを「/」で区切って並べて表します。左側に記載されている通貨を「基軸通貨」、右側を「決済通貨」と呼びます。下記に、日本人がよく利用する主要な通貨ペアについて一覧表にしました。

日本人がよく利用する主要な通貨ペア一覧表

通貨ペアによって特徴はまったく異なります。FXや外貨預金で利益を上げるためには、通貨ペアの特徴についてしっかり理解することが非常に重要です。

メジャー通貨のメリット/デメリット

メジャー通貨のメリット/デメリット

メジャー通貨とマイナー通貨について、それぞれの特徴やメリット、デメリットについて見ていきましょう。

メジャー通貨とは

米ドル、ユーロ、ポンド、円、豪ドルなど、取引量が多く流動性が高い通貨のことです。特に「米ドル」「ユーロ」「円」は世界三大通貨とも呼ばれ、よく取引する通貨なのでしっかり覚えておきましょう。

メジャー通貨のメリット

メジャー通貨のメリットについて、具体的に4つを取り上げて解説します。

・相場が安定していて、特徴をつかみやすい

メジャー通貨は取引量が多いので、後ほどご説明するマイナー通貨に比べて相場が安定しています。そのため、短期間で大きな利益を狙うのは難しいですが、安定的に利益が狙えるでしょう。大口の取引があっても、そもそも取引量が多いのでマイナー通貨に比べあまり左右されません。

また、取引量が多い分だけ情報が多く集まります。前述したように大口の取引などに左右されにくいため、マイナー通貨に比べて相場の特徴がつかみやすいのもメリットと言えそうです。不規則な動きもマイナー通貨に比べ少なく、安定的な取引が期待できるでしょう。

・流動性が高く、取引したい時に成立しやすい

メジャー通貨は、取引量に比例して流動性が高くなります。流動性が高いと、取引したい時に取引が成立しやすくなるというメリットがあります。

逆に、マイナー通貨など取引量が少ない通貨ペアで取引すると、なかなか約定しない可能性があります。そのため、なかなか思っている価格での売買できません。結果として、思わぬ損失を被ってしまう可能性もあります。

・スプレッドの幅が狭く、取引回数が多いトレーダーには大きなメリット

メジャー通貨は、マイナー通貨に比べてスプレッドの幅が狭くなります。例えば、日本人にもっとも取引されている米ドル/円の場合、0.2pips程度で取引できる業者もあるのです。マイナー通貨は流通量が少ないため非常にスプレッドが広い通貨ペアもある中、これはメジャー通貨のメリットと言えるでしょう。

特に、スキャルピングやデイトレードなど、取引回数が多くなるトレード手法で取引するトレーダーにとって大きなメリットになります。

メジャー通貨のデメリット

メジャー通貨のデメリットは、マイナー通貨に比べて安定的な値動きが多いゆえに、短期間で大きな利益を得るのは難しい点です。短期間に大きな利益を得たい場合は、取引量を増やす必要があります。ただし、マイナー通貨に比べて、メジャー通貨は1通貨あたりに必要な取引金額が大きいため、取引量を増やすには大きな資金が必要です。

マイナー通貨のメリット/デメリット

マイナー通貨のメリット/デメリット

マイナー通貨とは

マイナー通貨とは、トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソなど取引量が少なく流動性が低い通貨です。

マイナー通貨のメリット

マイナー通貨のメリットには、以下のようなものが挙げられます。

・スワップポイントが高い傾向にある

トルコリラや南アフリカランドなどのマイナー通貨はメジャー通貨に比べて政策金利が高く、その分だけスワップポイントも高い傾向にあります。長期でスワップポイント狙いのトレードを行いたい方にとって、これは大きなメリットになるでしょう

・変動率が高く短期間に大きな利益が狙える

また、マイナー通貨はメジャー通貨に比べて流通量が少ないため、その分だけ変動率が高くなります。そのため、短期間でも大きな利益を狙うことが可能です。

マイナー通貨のデメリット

マイナー通貨には、主に以下2つのデメリットがあります。

・予想できない動きから、大きな損失となるリスクがある

マイナー通貨は、メジャー通貨に比べると圧倒的に取引量が少ないため、突発的な動きをしがちです。取引量の多い取引にも左右されやすいため、予想できない動きをすることがあります。マイナー通貨は短期で大きな利益を得られるメリットがある反面、逆に短期間で大きな損失になってしまう可能性がある点に注意してください。

・スプレッドの幅が広く、スキャルピングやデイトレードには不向き

メジャー通貨に比べて流通量が少なく、値動きが激しいため、その分だけスプレッドの幅も広くなります。そのため、スキャルピングやデイトレードには向かない通貨ペアと言えるでしょう。

ストレート通貨とクロス通貨

米ドルと取引をする通貨ペアが「ストレート通貨」です。ドルストレートとも呼ぶので覚えておきましょう。また、米ドルが含まれない通貨ペアのことを「クロス通貨」と呼び、FXや外貨預金を行う際には、よく出てくる用語なので覚えておきましょう。

FXや外貨預金を行う際、よく利用する通貨の特徴

FXや外貨預金を行う際、よく利用する通貨の特徴

・米ドル

米ドルは国際的な金融取引の決済で使用される通貨であり、取引量が多く値動きが比較的安定している特徴があります。世界の基軸通貨であり、米ドルの動きはほぼすべての通貨の動きに影響しますので、最注目の通貨と言えるでしょう。

米ドルの主な変動要因は、米国の経済指標、金融政策、要人発言などです。特に、雇用統計やFOMCなど、重要な経済指標には大きく左右されます。

・円

金利が低いことや流動性が高いことが特徴です。日本は対外資産から対外負債を引いた金額が世界でもっとも多い対外純資産国であることから、円は安全資産と呼ばれます。

日本銀行の金融政策が主な変動要因です。ただし、最近は金融政策にあまり変更がないので、日本主導で大きく為替レートが動くことは多くありません。リスク回避で円が買われる「有事の円買い」と呼ばれる現象も見られます。

・ユーロ

世界第2位の取引量を誇る通貨です。取引量が多く、値動きも比較的安定しています。欧州中央銀行(ECB)の動向や、ユーロ圏の経済を牽引するドイツの経済指標によって相場が変動しやすいでしょう。

・ポンド

値動きが大きいのが特徴です。短期間でも大きな変動があるため、FXトレーダーに非常に人気が高い通貨になります。欧州との経済的な結びつきが強いため、欧州経済の影響を受けやすいでしょう。

・豪ドル

豪ドルは、かつて高金利通貨として日本人に非常に人気がありました。コロナショック以降に政策金利は低くなりましたが、ようやく上昇傾向にあります。

最大の貿易相手国である、中国の影響を強く受けます。日本と時差がほぼないため、リアルタイムに情報を得やすいのも特徴です。豪ドルの為替レートに影響するオーストラリアの経済指標は、日本時間の午前中に発表されるものが多いため、日中取引したい方にも覚えている通貨と言えます。

・カナダドル

カナダは、原油などの資源が非常に豊富な国です。資源が非常に多いため、原油などの資源価格と連動する傾向があります。また、地理的に米国と非常に近いため、米国経済の影響を受けやすいでしょう。

・ニュージーランドドル

NZドルは豪ドルと似た動きをする傾向にあり、豪ドルと同様に中国の影響を受けやすいでしょう。ニュージーランドの主要産業である、乳製品の価格に影響されることもあります。

・スイスフラン

スイスフランは安全資産と位置付けられており、戦争や経済危機などの際に買われる傾向にあります。金利は低いですが、独自の存在感がある通貨です。

・トルコリラ

ドルやユーロなどと比べて、必要な取引証拠金が少ない通貨です。また、メジャー通貨に比べるとスワップポイントが高い傾向にあります。流動性が低く値動きが荒いので、短期間でも大きな利益が出せる可能性があるでしょう。

・南アフリカランド

南アフリカランドはボラティリティの高い通貨です。トルコリラと同様、メジャー通貨に比べてスワップポイントが高い傾向にあります。また、値動きが非常に大きいため、短期間でも大きな利益を得られる可能性があるでしょう。

初心者向け通貨ペアの選び方

初心者向け通貨ペアの選び方

続いて、初心者向けの通貨ペアの選び方についてポイントをご説明します。

通貨ペアは少数に絞る方がおすすめ

FXや外貨預金の初心者なら、通貨ペアはまず少数に絞りましょう。なぜなら、取引する通貨ペアを絞ることによって、その通貨ペアの知識が深まるからです。様々な通貨ペアに手を出してしまうと、すべての通貨ペアの知識が中途半端になってしまう可能性があります。メジャーな通貨ペアに絞り、取引を通じて知識を身に付けることから始めましょう。

取引量が多く流動性の高いペアを選ぶ

取引量が多く、流動性が高くて安全性の高いメジャー通貨ペアを選ぶと良いでしょう。マイナー通貨ペアは短期間で大きな利益になる可能性がありますが、その部分だけ短期間で大きなマイナスになる可能性もあります。

スプレッドの幅が狭いペアを選ぶ

まずは取引に慣れる意味でも、余計なコストをかけずスプレッドの幅が狭いペアを選びましょう。米ドルやユーロなどメジャー通貨ペアのスプレッドは、マイナー通貨ペアの通貨ペアに比べて狭くなります。

情報収集がしやすいペアを選ぶ

初めて外貨で取引する場合、情報収集しやすい通貨ペアを選んでください。なぜなら情報量が多いと、取引の判断がしやすいからです。つまり、メジャー通貨ペアで取引した方が良いということになります。マイナー通貨ペアは、情報量が圧倒的に少ないので注意が必要です。

適度なボラティリティ(変動率)のペアを選ぶ

ボラティリティが大きいと、大きな利益を短期間でも得られる可能性があります。一方、その分だけ大きな損失を被ってしまうかもしれません。初めて外貨で取引するなら、ボラティリティがあまり高くない通貨ペアを選びましょう。つまり、メジャー通貨ペアがおすすめです。

まとめ

通貨ペアについてご説明しました。FXや外貨預金などの外貨取引を行う際、通貨ペアはとても重要になります。なぜなら、通貨ペアによって値動きの特徴はまったく異なるからです。本記事を参考に、通貨ペアについて知識を深め、ご自身の投資に役立ててください。

監修者プロフィール

渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>
大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融を分かりやすく伝えることをモットーに活動中。