TOPIXってなに?

株式投資を行うために必要不可欠な情報として、日経平均株価と並び、日本の代表的な株価指数であるTOPIXについてご説明します。

TOPIXってなに?

TOPIXとは

TOPIXとは

TOPIXは「Tokyo Stock Price Index」の略で、東証1部上場の全銘柄を対象として算出されている株価指数です。各銘柄の浮動株数に基づく時価総額を合計して計算されています。この浮動株とは発行されている全株式の中で、安定した株主に保有されておらず、市場に流通する可能性の高い株式のこと。つまり、一般投資家が買える株式のことを指します。

TOPIXは東京証券取引所第1部(東証1部)の全銘柄を対象にしていますので、株価市場全体の動きを表している株価指数といわれています。しかし、TOPIXにはさまざまな種類があることは、ご存じない方が多いかもしれません。

TOPIXには、色んな種類がある

TOPIXには、色んな種類がある

TOPIXと聞くと、一般的には1種類しかないと思われがちです。しかし、実はTOPIXには7つの種類があります。

  • TOPIX Core30(コア30)
  • TOPIX Large70(ラージ70)
  • TOPIX Mid400(ミッド400)
  • TOPIX Small(スモール)
  • TOPIX 100
  • TOPIX 500
  • TOPIX 1000

このように、銘柄数によってTOPIXは7つの種類に分かれており、特に重要なのは「TOPIX Core30」です。

TOPIX Core30(コア30)が重要視されている理由

では、なぜTOPIX Core30が重要視されているのでしょうか。以下に、TOPIX Core30に採用されている銘柄を一覧化しました。

この一覧を見れば、日本を代表する銘柄が集まっていることがわかるでしょう。TOPIX Core30の採用銘柄は、時価総額や流動性が特に高い、日本を代表する30銘柄が選ばれているのです。そして、このTOPIX Core30を使うことで、とても有効な投資ができます。

TOPIX Core30を使った有効な投資手法とは?

TOPIX Core30を使った有効な投資手法は、「ダウの犬戦略」です。これはNYダウに採用されている30銘柄のうち、配当利回りの高い10銘柄に投資をして1年間持ち続け、1年後にもっとも成績の悪かった1銘柄を入れ替え、これを毎年行う投資手法。とても単純な投資手法ではありますが、この投資手法はNYダウを上回る投資成績を上げられるといわれています。

TOPIX Core30を使えば、日本株でこのダウの犬戦略を行うことが可能です。投資方法はNYダウを使った場合とまったく同じ。TOPIX Core30のうち、配当利回りの高い10銘柄に投資をして1年間持ち続けます。そして、1年後にもっとも成績が悪かった1銘柄を入れ替え、これを毎年行うわけです。

ダウの犬戦略は「ダウ10戦略」とも呼ばれており、とても有効な投資手法になります。しかし、アメリカの株で実践するのに抵抗がある方は多いでしょう。そのような方は、ぜひTOPIX Core30を使って行ってみてください。

TOPIXの算出方法

TOPIXの算出方法

TOPIXの概要についてご説明してきました。続いて、TOPIXの算出方法について見ていきましょう。TOPIXは東証1部の毎日の時価総額を、基準日(1968年1月4日)の時価総額(100)で割って算出する株価指数です。そのため、TOPIXの算出式は「時価総額/基準日×100」になります。なお、単位は「ポイント」で「円」ではありません。

2021年6月9日時点でのTOPIXは、1957.14ポイントです。TOPIXは100から始まっているので、約50年で19倍以上上昇したことになります。

日経平均株価との違いとは?

日経平均株価との違いとは?

ではTOPIXについて、もう一つの代表的な株価指数である日経平均株価と、どのような違いがあるのでしょうか。日経平均株価とは、東証1部上場銘柄のうち市場を代表する225銘柄を対象としており、日本経済新聞社が算出している株価指数です。TOPIXに比べると、テレビのニュースやインターネットの記事になることが多いでしょう。そのため、日経平均株価の方に馴染みがあるという方は少なくないはずです。

日経平均株価は、株価の単純平均をベースに新株落ち分を修正して算出されます。日経平均株価に採用される銘柄は、東証1部に上場されている225社のみ。東京証券取引所には、約3,700社が上場しています。日本の企業数は、420万社を超えるといわれていますので、日経平均株価に採用される銘柄はまさに日本を代表する企業ばかりです。

TOPIXは1968年から運用されていますが、日経平均株価はもっと歴史が古く1949年から運用されている株価指数。銘柄については定期的に見直しを行っており、日経平均株価に採用される銘柄は1年に1回見直されることになっています。そのため、常に時代に合った銘柄が採用されているといって良いでしょう。

また、定期での見直し以外にも上場廃止など構成銘柄に欠員が生じる場合に、不定期で銘柄を補充する臨時入れ替えがあります。最近では2019年10月1日に、今まで採用されていた(株)東京ドームから、サービス業のエムスリー(株)といった会社に銘柄変更が行われました。このエムスリーは、非常に売買が多い銘柄として有名です。2015年にはプロ野球球団・横浜ベイスターズを買収して一躍有名になった、(株)ディー・エヌ・エーが日経平均株価に採用されています。

日経平均株価の計算方法とは?

では、日本でもっとも有名な株価指数である日経平均株価は、どのように計算されているのでしょうか。単純に考えると、採用された225銘柄の株価を足し合わせて225で割ればよいと思われるかもしれません。しかし、単純に計算するだけだとさまざまな不都合があるため、実際の計算方法は異なります。

日経平均株価の計算方法について理解をするためには、「みなし額面」と「除数の修正」をしっかり理解しなければなりません。株価は銘柄によってまったく値段が異なるため、単純に計算をしてしまうと、株価が高い銘柄に日経平均株価は大きく左右されてしまうことになります。そこで、みなし額面という考え方が登場するのです。みなし額面について詳しい説明は省きますが、簡単に言うと「株価の高い・低いによって影響度が変わってしまうことを極力防ぐためのもの」となります。

また、日経平均株価が誕生したときの分母は225でした。しかし、その後に株式分割や会社の合併、銘柄の見直しなどによって分母を調整する必要が生じ、結果として2021年6月9日時点での日経平均株価の除数は27,769です。このように、日経平均株価は単純な計算式ではなく、みなし額面や除数の修正によって成り立っています。

TOPIXとの比較ポイント

TOPIXとの比較ポイント

この日経平均株価とTOPIXは、どのようなポイントから比較すればよいのでしょうか。TOPIXと日経平均株価を比較するうえで、主なポイントは「株価」「時価総額」の二つです。

株価

日経平均株価はみなし額面の考え方を使って調整していますが、それでも、やはり株価の高い値がさ株に影響されやすい特徴があります。代表的な値がさ株であるソフトバンクグループやファーストリテイリングなど、少数の銘柄の値動きによって左右されやすいため、日経平均株価が動いたときは値がさ株の動きも確認するようにしましょう。
一方でTOPIXは、時価総額をもとに計算をされています。そのため、日経平均株価ほど株価の高い値がさ株に影響されません。

また、日経平均株価は東証1部に上場されているごくわずかな株価指数ですが、TOPIXは東証1部に上場されているすべての銘柄が対象となります。そのため、市場全体の動向をより表しているのはTOPIXだといえるでしょう。

時価総額

TOPIXは時価総額をもとに算出される株価指数のため、日経平均株価よりも時価総額の高い会社に影響されやすい特徴があります。以下に、TOPIXに影響を与える時価総額上位10社についてまとめました。(2021年6月9日現在)

いずれも、まさに日本を代表する企業の集まりであるといってよいでしょう。TOPIXは、日経平均株価のように銘柄を選定しているわけではありません。そのため、業種の偏りが少ない株価指数であるといわれています。やはりTOPIXの方が、市場全体の動きをよく表している株価指数だといえるでしょう。

まとめ

まとめ

日本の代表的な株価指数である、TOPIXについて詳しく解説しました。日経平均株価に比べると、TOPIXの知名度はあまり高くないようです。しかし、東証1部に上場されている全銘柄を対象にしているため、日経平均株価より市場全体の動向を表している株価指数であるといえます。日本の企業の株価がどうなっているか知りたいなら、TOPIXを参考にした方が良いでしょう。

また、TOPIXは日経平均株価と並んで、TOPIXに連動した数多くのインデックスファンドが販売されています。TOPIXに連動したインデックスファンドを購入すれば、簡単に東証1部に上場されている株式へまんべんなく投資することができるということです。日銀がETFを購入して株価を下支えしていることは有名ですが、2021年に入って「日経平均株価に連動するETFの購入を止め、TOPIXに連動しているETFに絞る」と発表しました。多くの投資家にとっても、TOPIXはぜひ覚えておきたい株価指数です。

今後、TOPIXが上昇する可能性は十分に考えられるでしょう。ここでご紹介した内容を参考にして、TOPIXに関する理解を深めておいてください。

著者プロフィール 監修者プロフィール

渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>
大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融をわかりやすく伝えことをモットーに活動中。