バランスファンドとは?

投資信託の種類は多様ですが、ここでは投資初心者におすすめのバランスファンドについてご説明します。

バランスファンドとは?

バランスファンドとは?

バランスファンドとは

バランスファンドとは、複数の資産に分散投資するファンドのことを言います。国内外の株式や債券、リート(REIT)などを対象とすることが多いです。国内や先進国だけでなく、新興国など世界中に幅広く投資先を分散しているものもあります。

投資初心者におすすめの金融商品

バランスファンドは、特に投資初心者におすすめの金融商品です。なぜなら、日本を含む世界全体の株式や債券、不動産にバランスファンド1本で投資できるので、簡単に国際分散投資ができるからです。
運用担当者であるファンドマネージャーが、最適と思われる投資比率を決めて運用してくれるので、投資経験の少ない方だけでなく、仕事などがあって投資にそれほど時間と手間をかけたくない人にも適した商品と言えるでしょう。基本的に、ご自身でメンテナンスする必要もありません。

分散投資の特徴

分散投資は、複数のインデックスファンドを自分で組み合わせて行う方法もあります。そのためには、定期的に自分で投資配分の調整などメンテナンスを行うことが必要になります。バランスファンドは、投資配分の調整をすべて運用会社やファンドマネージャーがやってくれるので、購入後は基本的に放っておくだけで良いのです。
分散投資は、投資経験のない方だけでなく、運用にあまり時間や手間をかけたくないベテラン投資家の方にも適しているファンドと言えるでしょう。

バランスファンドのメリット

バランスファンドのメリット

バランスファンドの主なメリットについて、具体的に4つを取り上げて解説します。

1つ購入することで複数資産や国への分散投資が可能

先ほども少しご説明しましたが、バランスファンドは1つ購入することで、複数の資産や国への投資が可能です。
一般的なバランスファンドは、株式や債券、リートなどに分散して投資されているため、バランスファンドを1本購入すれば、様々な資産に分散投資できます。また、国内だけではなく国外にも投資されているファンドが多いため、1本で国際分散投資を行うことも可能です。さらに、先進国以外に新興国にも投資されているバランスファンドがありますので、そのようなファンドを選択すると、より幅広い地域に分散投資できるでしょう。

バランスファンドを使わず自分で分散投資を行おうとする場合、かなり多くの資産や地域に投資しなければなりません。そのため、相応の資金が必要になるでしょう。また、多くの資産に投資しなければならないため、管理が非常に複雑になります。その点、バランスファンドは1本で簡単に分散投資ができ、管理もしやすいことは大きなメリットと言えます。

資産配分の決定や調節をファンド側が行ってくれる

バランスファンドは、資産配分(アセット・アロケーション)の決定や調節をファンドマネージャーや運用会社が行ってくれます。もし自分で国際分散投資を行うのであれば、頻繁にメンテナンスする必要があるでしょう。

例えば、株価が大きく上昇しているケースの場合、株式資産の割合が大きくなって他の資産の割合が少なくなり、当初目安にしている投資配分が狂ってきます。この当初目安にしていた投資配分に戻すためには、株式資産の売却を行い、他の資産を買い増しする必要がでてきます。
国際分散投資では、このような定期的なメンテナンスが欠かせません。特に、本格的な国産分散投資を行うとなれば、投資する資産も多様になるため管理はとても大変になるでしょう。常に最適な投資配分で運用するには、常にマーケットを見ている必要があります。

マーケットがよほど好きな方であれば、それでも大きな負担にはならないかもしれません。しかし、仕事をしていたり子育てしていたりして忙しい方の場合、できるだけ避けたいと考えるのではないでしょうか。その点、バランスファンドを利用すればファンドマネージャーや運用会社が投資家に代わって最適な投資配分にしてくれますので、簡単に国際分散投資を行えます。

大きな損失が出にくい

バランスファンドは、様々な資産にバランスよく投資されているため、大きな損失が出にくい特徴があります。なぜなら、株価が下落しているときは基本的に債券価格が上がり、逆に債券価格が下がるときは株価が上昇するなど、各資産によって値動きが違うからです。

1つの資産に集中して投資をしてしまうと、その資産が大きく上昇すれば大きな利益が見込めますが、逆に大きな下落をしてしまうと大きな損失が出てしまいます。バランスファンドでは各資産がそれぞれの資産を補う関係にあるため、大きな利益は出づらいですが、その分だけ安定的な運用が期待できるのが特徴です。安定的な運用を希望する方にとって、特に大きなメリットになるでしょう。

リターンが安定しやすい

前述した「大きな損失が出にくい」という点に似ていますが、バランスファンドは様々な資産に投資されているため、リターンが安定しやすいのが特徴です。大きな利益を望むのは難しいかもしれませんが、大きな値動きよりも安定性を求める方にとっては、大きなメリットと言えるでしょう。

バランスファンドのデメリット

バランスファンドのデメリット

バランスファンドには、主に2つのデメリットが挙げられます。

金融商品ごとの全体のバランスが分かりにくくなる

バランスファンドは1本で安定的な運用を期待できますが、他に株式や債券などの金融資産を保有する方もいるでしょう。また、目標の資産配分を維持するバランスファンド以外に、マーケット環境に応じて投資配分を変えるバランスファンドがあります。
他の金融資産を保有したり、そうしたバランスファンドを選択したりした場合、常に投資比率が変わるため、金融商品ごとの全体のバランスが非常に分かりにくくなってしまいます。

また、バランスファンドのファンドマネージャーの判断で、株式の投資比率を増やす場合もあるでしょう。このようなケースで多くの株式を個別で持っていると、株式の比率が非常に高いポートフォリオになってしまう可能性があります。つまり、自分の意図しないところで全体のポートフォリオのバランスが変わってしまう可能性があります。

マーケットの状況を見た資産配分の調整は自分でできない

バランスファンドは、プロのファンドマネージャーや運用会社がマーケット状況に応じて資産配分を変えてくれます。そのため、基本的に自分では何もする必要がありません。この点はメリットである一方、投資に詳しい方から見るとデメリットとして受け取られるか方もいるでしょう。
投資に詳しいと、自分の判断で資産配分を調整したいという方はいらっしゃるでしょう。しかし、バランスファンドでは、投資家の意見が反映されることはありません。自身の判断で資産配分を調整できず、すべての運用がファンドマネージャーに任せきりになってしまうことは、人によってデメリットと感じられるかもしれません。

バランスファンドを選ぶポイント

バランスファンドを選ぶポイント

バランスファンドといっても種類がいくつもあり、自分で選ぶのは難しいと感じる方がいるかもしれません。そこで、バランスファンドを選ぶうえでのポイントについてご紹介しましょう。

投資先を確認し、自分に合ったリスクとリターンの商品を選ぶ

バランスファンドには株式の投資比率が高いもの、あるいは債券や現金などの投資率が高いものなどもあります。また、国内や先進国だけではなく、新興国に多く投資されているバランスファンドもあるでしょう。

当然ですが、投資先が違うとリスクやリターンも大きく変わります。バランスファンドを選ぶ際は、しっかりと投資先を確認しましょう。自分に合ったリスクとリターンが期待できるバランスファンドを選ばないと、後になって後悔することになりかねません。

購入時手数料や信託報酬なども考慮して商品選定をする

一般的に対面型の銀行や証券会社の場合、購入時手数料は高い傾向があり、中には3%から4%程度かかる商品もあります。
ネット証券においては、多くのバランスファンドの購入時手数料が無料というケースが多いでしょう。まったく同じ商品でも、対面型の銀行や証券会社とネット証券の手数料は異なる場合がありますので確認するようにしましょう。

また、投資信託のランニングコストである信託報酬は、同じ商品であればどの金融機関で購入しても同一です。しかし、商品によって信託報酬は大きく異なります。信託報酬は長期間持てば持つほど大きな負担になりますので、信託報酬にもこだわってバランスファンドを選ぶようにしましょう。

地域のバランスを考える

バランスファンドを検討する際は、地域のバランスをしっかり考えるようにしましょう。国内の投資先であれば基本的に為替リスクは低いですし、アメリカなどの先進国は新興国に比べてリスクが小さくなります。このように、投資されている地域によってリスクやリターンは大きく異なるのです。バランスファンドを購入するのであれば、地域のバランスもしっかり検討するようにしましょう。

為替ヘッジのバランスを考える

バランスファンドの中には、為替の影響を抑える為替ヘッジ有りのバランスファンドと、為替の影響を直に受ける為替ヘッジなしのバランスファンドがあります。為替ヘッジなしのバランスファンドの場合、為替が円安方向に向かえば利益が上乗せされますが、逆に円高方向になると損失が大きくなってしまいます。
一方、為替ヘッジありのバランスファンドは為替の影響を極力受けないようにするので、為替ヘッジなしのバランスファンドに比べると価格は安定するでしょう。

しかし、為替ヘッジをかけるためにはヘッジコストかかるため、運用パフォーマンスを圧迫する恐れもあります。為替ヘッジについても、あらかじめ確認してからバランスファンドに投資するようにしましょう。

まとめ

まとめ

多くの投資家に人気のある、バランスファンドについて詳しくご説明しました。バランスファンドは様々な資産や地域に分散して投資されているため、値動きが安定しやすい特徴があります。特に投資初心者の方、あるいは仕事や家事などでまとまった時間を確保しにくい方にとって、おすすめの投資信託と言えるでしょう。

また、バランスファンドと言っても種類は多様です。ここで取り上げたポイントを参考にしながら、ご自身に合ったバランスファンドを検討しましょう。

監修者プロフィール

渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>
大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融をわかりやすく伝えることをモットーに活動中。