南アフリカランド投資の基礎知識【概要編1】

南アフリカランド投資の基礎知識【概要編1】

南アフリカランドの特徴

【資源国通貨】

南アフリカは、金やプラチナ、ダイヤモンドなど鉱物資源が豊富なため、南アフリカランドは「新興国通貨」であると同時に「資源国通貨」にも位置付けられています。このため、金や鉄鉱石など資源価格の動向に影響を受けやすい特徴があります。

【中国経済との結び付きが強い】

南アフリカは、中国が最大の貿易相手国になるため、他の新興国通貨と比較して中国経済動向の影響を受けやすくなっています。特に中国が輸入している鉄鉱石、マンガン、クロムなどの鉱物資源の需要動向に強く反応する傾向があります。新興経済大国群である「BRICS」(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国)のメンバー国として、経済のみならず政治的にも中国との結びつきが強くなっています。

南アフリカランドの魅力

【高金利通貨として人気】

南アフリカランド/円は、高金利通貨として日本の個人投資家の人気が高い通貨ペアになっています。高インフレに加えて、海外からの資本流入を促すために、金融政策は金利を高めに誘導する傾向がみられます。特に高インフレ環境だと高金利通貨としての魅力が高まります。保有していると金利(スワップポイント)を多く受け取ることが可能なため、短期だけではなく中長期的な投資対象としても注目されています。

【資源高環境で投資妙味】

資源価格動向の影響を受けやすいため、特に貴金属など資源価格の上昇局面で投資妙味が高まります。触媒用金属として重要なプラチナは、世界最大の生産国になっています。金、パラジウム、マンガンなども世界有数の生産国です。鉄鉱石や石炭の生産国としても有名です。

【アフリカ大陸で唯一のG20参加国】

南アフリカは、アフリカで唯一のG20参加国であり、「BRICS」の一角を占めています。アフリカは人口増加や経済発展の余地が大きいとみられていますが、地域の主要国として政治経済の両面で国際社会における重要性が高まる見通しになっています。

南アフリカのリスク

【リスクオフ局面では値下がりリスク】

南アフリカランドは新興国通貨、資源国通貨になるため、投資家のリスク選好性が後退した局面では、値下がりするリスクが高まります。株価急落といった動きがみられると、南アフリカ経済環境と関係なく投資家が資金引き揚げを進める可能性が高まります。特に中国経済に大きな問題が生じると、ランド売りの動きが強まる傾向にあります。

【ランド買い人気の反動で、持高調整だと急落も】

南アフリカランド/円は高金利通貨としての魅力が高いため、キャリートレード(=低金利通貨で資金を調達し、高金利通貨に投資する取引)の対象になりやすい通貨です。このため、投資家の建玉はランド買い・円売りに大きく偏りやすいため、何かネガティブな材料が出てくると、一斉に建玉を解消する動きで大きく値下がりするリスクがあります。

【財政収支と経常収支に問題あり】

南アフリカの信用格付けは、低めになっています。高水準の政府債務残高、財政再建の遅れなどの問題に加えて、経常収支の赤字が慢性化していることが指摘されています。また、計画停電の深刻化、大規模洪水被害の発生、深刻な労使問題などが経済活動の停滞を招いていることも警戒されています。他の新興国と同様に、投資環境の急変リスクが高いとみられています。

<ご参考>南アフリカの国勢データ

<ご参考>南アフリカの国勢データ

2023年8月作成

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レポート作成元:マーケットエッジ 代表取締役 小菅努

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