FXは危険!?リスクを正しく理解すれば怖くない!

FXは危険!?リスクを正しく理解すれば怖くない!

予測が外れた場合には、為替差損が発生

 2022年以降、外国為替市場で急激な円安(ドル高)が進行しています。円安になると必ずと言っていいほど注目される金融商品が、「FX(外国為替証拠金取引)」です。

 一般のサラリーマンや主婦がFXで大きな資産を築いたというのは、よくテレビのワイドショーなどでも取り上げられていますが、一方で、FXで資産を失ってしまう人もいるため、「FX=危険」とのイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし、仕組みをしっかりと理解して身の丈にあった取引をしていれば、FXは資産運用の強力な武器となることも確かです。ここでは、FXのリスクについて解説し、「FX=危険」という誤解を解いていきましょう。

 まず、FXで利益を得るためには、2つの方法が存在します。
ひとつは為替の変動による差益、もうひとつは金利の高い通貨を買うことで発生する「スワップポイント」と呼ばれる利息のようなものです。
為替は、投資する通貨ペアの2国間の通貨の強さによって日々、変動します。一方、スワップポイントは、金利の低い通貨を売って、金利の高い通貨を買うことでその金利差分が日割りで計算され、投資家に付与されます。

 たとえば、米ドル/円の通貨ペアで為替差益を狙う場合、投資家は、あらかじめドル高(円安)に動くのか、それともドル安(円高)に動くのかを予想して投資することになります。ドル高に動くと予想する場合には「買い(ロング)」を、ドル安と予想するなら「売り(ショート)」のポジション(建玉)でエントリーすることになります。為替が思惑通り動けば、保有するポジションを決済することで動いた分の為替差益を得ることができます。予想した方向とは異なる方向に動いた場合には、為替の変動分が損失となります

高金利通貨の売りには、スワップポイントの支払い義務が発生

 スワップポイントは、為替の変動とは関係なく、金利の低い通貨を売って、金利の高い通貨を買うことで受け取ることができます。米ドル/円の通貨ペアでいえば、現在では「買い」のポジションを保有している投資家に付与されます。

 ここで気を付けなければいけないのは、「金利の高い通貨を売って、金利の低い通貨を買っている」ケースです。米ドル/円の通貨ペアで言えば、「売り(ショート)」のポジションがこれに該当します。「売り」のポジションを持っている投資家は、逆にスワップポイントを支払うことになります。仮に、為替がドル高(円安)に進むような場合は、為替変動による損失に加えて、スワップポイントの支払いという二重の損失が発生してしまうわけです。相場状況にもよりますが、スワップポイントの支払い義務があるポジションは、短期投資向きと言っていいでしょう。なお、それぞれの通貨の金利は、原則、各国の政策金利によって決まります。

米ドル/円の通貨ペアでの利益と損失

レバレッジこそ、FXの魅力であり大きなリスク

 ここまでは、FXの基本的な仕組みによるリスクを説明してきました。ここからは一歩踏み込んで、「FXが危険」と言われる理由について考えていきたいと思います。

 FXは、デリバティブ(金融派生商品)を活用した金融商品で、手持ちの資金にレバレッジ(てこの原理を)かけた取引が可能です。一言で言えば、証拠金(預け入れた資金)以上の取引ができるということ。過去には、証拠金に対して100倍や200倍の取引ができましたが、現在は投資家保護の観点からレバレッジは25倍までに制限されています。このレバレッジこそが、FXの魅力でもあり、危険とされる大きな理由です。

 たとえば、2022年1月から同年10月にかけては、急激なドル高(円安)が進行しました。年初に1ドル=115円台だった米ドル/円が、10月には151円台まで上昇したのです。値幅にして約36円、率にして31%程度の変動になります。この期間、25倍のレバレッジをかけて「売り」のポジションを保有していた場合、理論上、775%(31%×25倍)の損失が発生する計算になります。10万円の証拠金で計算すると、マイナス67万5,000円(10万円×▲775%)。つまり、当初預け入れた資金が消滅し、さらに追加の証拠金を支払う必要が生じるわけです。

 実際の取引では、証拠金維持率が100%未満になった場合には、自動的にロスカットが発動され、保有しているポジションが強制的に決済されることになりますので、損失はそこまで広がることはありません。ですが、自分がどれくらいのポジションを持っていて、為替が1円変動するとどれくらいの損失や利益になるのかは常に把握しておくことが大切です。預け入れた証拠金に対して目一杯の取引をするのではなく、余裕を持った取引を行なっていれば、追証(追加の証拠金)や強制ロスカットは避けられるはずです。下の表は、証拠金10万円での異なるレバレッジによるシミュレーションです。

LINE証券 ヘルプ ロスカット
https://help2.line.me/linefx/web/categoryId/20007634/2/sp?lang=ja

証拠金10万円での実質レバレッジ

 最後に、流動性のリスクについてご紹介しましょう。
流動性とは、マーケットでの取引量を指します。米ドルやユーロ、円といった通貨の組み合わせでは投資家の活発な取引が行われれているため流動性が高く、一般的に取引が成立しやすい状況にあります。一方で、新興国通貨などは取引量が少なく(流動性が低く)、場合によっては自分が売買したいタイミングで取引が成立しないこともあります。利益確定の場合はまだよいのですが、損切りはタイミングが遅れると思わぬ損失につながることもあります。特に、流動性が低い新興国通貨は値動きが激しいこともあり、注意が必要です。

 また、新興国通貨は値動きが一方方向に動きやすいという特徴があります。たとえば、高金利通貨のトルコリラは2015年から2023年までに右肩下がりでの下落が続いています。トルコリラ/円の通貨ペアでは、2015年に1トルコリラ=約50円だったものが、直近では5円台と約10分の1になっています。いくら高いスワップポイントをもらっても大きな為替差損が出ていることになります。ですので、時として潔い損切りが必要だということは忘れないでください。

 FXは元本が保証されている金融商品ではありません。「売り」のポジションを保有している場合には、スワップポイント分が損失になってしますし、為替が思惑と逆の方向に動いた場合には為替差損が発生してしまいます。でも、投資で利益を得ようとする場合には、リスクはつきものです。大きなリターンを得ようと思ったら、それなりのリスクを取る必要があります。ですが、FXはギャンブルではありません。身の丈にあった取引で、長く相場と向き合っていくことが大切です。

FXの主なリスク

レポート作成元:株式会社デジタルアイデンティティ
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