トレードの実例
1-中長期スワップポイント狙いの買い
メキシコペソ/円の高スワップポイントに注目したトレードになります。2022年7月1日から23年6月30日まで1年間、メキシコペソ/円の買いポジションを1万通貨(1枚)保有しました例になります。
スワップポイントは、1年間で6,742円になりました。一方、その間にメキシコペソ/円相場は1ペソ=6.7474円から8.4197円まで1.6723円のペソ高・円安になり、1万6,723円の売買利益も発生しました。このため、合計で2万3,465円の利益(=6,742円+1万6,723円)になりました。
メキシコ中央銀行は22年5月からインフレ抑制のための利上げを開始しました。4月時点で6.50%だった政策金利は、23年6月には11.25%まで上昇しました。このため、時間の経過とともにスワップポイントは増加し、更に高金利通貨が評価されてペソ高・円安が加速したことで、大きな売買益も得られました。
2-スワップポイント支払いだが円高狙いの売り
日本銀行の金融緩和政策の調整を巡る議論が活発化したため、メキシコと日本の金利差縮小による売買益を狙ったトレードになります。22年12月に1か月間、メキシコペソ/円の売りポジションを1万通貨保有しました。
メキシコペソ/円相場は11月末の1ペソ=7.1574円から12月末の6.7212円まで0.4362円のペソ安・円高になったため、4,362円の売買利益が発生しました。一方、スワップポイントは526円の支払いになりました。このため、合計で3,836円の利益(=4,362円-526円)になりました。
12月の日銀金融政策会合では、長期金利の変動幅の上限を0.50%にする決定を行いました。それと前後して円高圧力が発生するとの予想が当たりました。高金利通貨のためスワップポイントの支払いが利益を限定しますが、それよりもペソ安・円高で得られた利益の方が大きくなりました。
3-リスクオフ環境の下げ相場で損失
メキシコ中央銀行の利上げスタンスが鮮明になったことで、短期の売買益を狙ったトレードになります。23年3月に1カ月間、メキシコペソ/円の買いポジションを1万通貨保有しました。
メキシコペソ/円相場は2月末の1ペソ=7.4379円から3月末の7.3665円まで0.0714円のペソ安・円高になったため、714円の売買損失が発生しました。ただし、スワップポイントが624円得られました。このため、合計で90円の損失(=624円-714円)になりました。
ペソ高が続くと見込んでいましたが、3月は米地方銀行の経営破たんでグローバルなリスクオフ傾向が強まる中、ペソの下落で損失になりました。リスクオフ環境ではペソが下落しやすいことが確認できます。ただし、スワップポイントによって全体の損失額は抑えられました。
(注)為替レートはRefinitivのデータ、スワップポイントはLINE証券の実績値です。証拠金は取引金額の4%(=倍率25倍)で計算しています。売買シミュレーションのため、将来の利益・損失を約束するものではありません。
2023年8月作成
レポート作成元:マーケットエッジ 代表取締役 小菅努
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