南アフリカランド投資の基礎知識【概要編2】

南アフリカランド投資の基礎知識【概要編2】

南アフリカランドの注目指標

【政策金利の動向】

高金利通貨のため、南アフリカ中央銀行の金融政策が注目されます。政策金利は2023年7月に8.25%まで引き上げられましたが、日本との金利差の変動状況で高金利通貨としての魅力が増減します。また、金融政策とも密接に関係する消費者物価指数も注目されます。なお、南アフリカ中央銀行のインフレ目標は3~6%となっています。

【経常赤字の動向】

南アフリカは経常赤字が慢性化しているため、経常赤字の変動状況が注目されています。輸出拡大や資源価格高騰で経常赤字が縮小するとランド買い、逆に経常赤字が拡大するとランド売りが活発化する傾向にあります

【資源価格動向】

鉱物資源の主要生産国のため、貴金属や鉄鉱石などの資源価格動向が注目されます。特に中国経済成長を伴う資源高局面ではランド買い、逆に中国経済鈍化を伴う資源安局面ではランド売りが活発化する傾向にあります。カナダドルや豪ドルなど他の資源国通貨の値動きも参考になるでしょう。

南アフリカランドの主な変動要因

南アフリカランドの値動き

【2010年代中盤は資源安で急落】

2015年までは1ランド=9~11円のボックス相場が続いていましたが、15~16年にかけて急激な資源安を背景に売り圧力が強まり、6円台まで急落しました。その後は世界的な株高などのリスクオン環境で9円台まで大きく切り返しましたが、経常赤字の慢性化や中国経済の減速懸念に上値を抑えられ、19年には7円台まで再び値下がりする展開になりました。

【パンデミック後の急落、高金利通貨として急伸するも】

2020年に新型コロナウイルスのパンデミックが発生すると、リスクオフと資源安を背景に急落し、5円台に突入しました。その後はパンデミックからの経済復興、資源価格の急反発などを手掛かりに22年に8円台後半まで切り返しています。高インフレに対応するため、南アフリカ中央銀行が積極的な利上げを行ったことが、ランド相場の急伸を促しました。しかし、22年後半以降は電力供給不足が深刻化し、再び7円台まで軟化しました。

【高金利政策の行方、中国経済・資源価格動向に注目】

南アフリカ中央銀行は、インフレ率は中央銀行の目標レンジ(3~6%)に回帰したものの、まだ利上げサイクルは終わっていないとしています。このため、当面は高金利通貨としての魅力が維持される見通しです。ただし、このままインフレ圧力の緩和が続くと、利上げ終了の議論が活発化します。その際に高金利通貨としての魅力を維持し続けることが可能か、日本の金融政策とのバランスが注目されます。また、資源価格の回復傾向が続くのか、中国経済が改めて成長軌道に回帰できるのかも重要な論点になります。一方、電力供給障害が長期化すると、経済活動の停滞が改めてランド売りを促すリスクがあります。また、経常赤字の動向も重要です。

2023年8月作成

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レポート作成元:マーケットエッジ 代表取締役 小菅努

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